モテるんは俺の趣味やっ!

たっちゃんがこんなにも愛される理由は、愛想がよくって、にこにこへらへらしていて、八方美人だから、では、もちろんない。






たっちゃんは、決して、ひとのことを悪く言わないのだ。






邪気がない、といえばいいのだろうか?




とにかく、「嫌や」とか「うざい」とか「気にくわん」とか、そういうマイナスの言葉がたっちゃんの口から出るのは、この一年半の間、一度だって聞いたことがない。





驚いたことに、「めんどくさい」とか「つまらん」とか「しょうもない」とか、そんなたわいもない愚痴でさえ、たっちゃんは絶対に口に出さないのだ。






たっちゃんはさっき、自分がいらいらしても周りは変わらないから、と言っていたけど。





でも、だからといって、誰もがそんなふうに振る舞えるだろうか?



自分の思い通りにならないことがあったり、誰かのせいで嫌な思いをしたりしたときに、自分の心の中に湧き上がるはずの負の感情をちっとも表に出さないというのは、並大抵のことじゃないと思う。






それをさらりとやってのけているたっちゃんは、やっぱりすごいと思う。