モテるんは俺の趣味やっ!

「………あたしは、あかんわ。



気に入らんもんばっか目について、いっつもいらいらしとる気ぃする。


何をそないいらいらしとんねんて、家族にも友達にも、よう言われるわ」






「あはは、ひどいこと言うなあ。


べつにいっつもではないよな、ミサキかて、機嫌ええ時あるやんな」







たっちゃんはのほほんと言うけど。







「いや、でもまぁ確かに、あたしはたいがい、いらいらしとるけどな。


いろんなもんに対して」






「そら、ミサキがよく周りを見とるて証拠やろ」







たっちゃんが、そんな意外なことを言い出した。




意味がよく分からなくて、あたしは眉を上げる。




たっちゃんは「煙草、ええか?」と言って、ポケットから煙草の箱とライターを取り出した。





火をつけて一口ふかしてから、たっちゃんは、穏やかな口調で語り出した。








「………あんなぁ。


俺みたいに、なんに対しても『まぁええかぁ』て思てまう人ばっかりやったら、世の中、いつまで経っても変わらへん。



ミサキみたいに、不真面目なやつとか、効率わるいこととか、そういうもんに腹立てて、なんとか良くしたい思う人がおらんと、埒が明かへんやんか。



せやからなぁ、ミサキはミサキで、ええと思うで」