モテるんは俺の趣味やっ!

あたしはあえて「はぁ」と気の抜けた相づちを打っただけで、目の前の水をぐびっと飲み干した。





案の定、たっちゃんは不服そうな顔をしている。







「なぁなぁミサキー」





「あーこの水うまー」





「たっちゃん可愛ええなぁて言うてやー」





「この喫茶店ええなぁ」





「なんで無視すんねーん」





「そろそろ料理くるかなー」





「あぁ、愛が……愛が足りひん。空腹で死んでまいそうや………」






たっちゃんはわざとらしい涙声を出して、テーブルに突っ伏した。





あたしが内心ほくそ笑んでいると、たっちゃんが唐突にがばりと顔をあげた。




何事かと見てみると、その顔は悔しそうに歪んでいる。






「なんやねんいきなり」





「ミサキ、今日の俺のファッション、ばりおしゃれやない!?」






そう言って立ち上がったたっちゃんを、上から下まで観察してみる。