モテるんは俺の趣味やっ!

たっちゃんは、世にも鮮やかなフレッシュグリーンのトレンチコートをはおっていて、一瞬で店の中が明るくなったような気がした。




目ぇがチカチカするわ、近づかんといて!



しかし、もちろん、そんなささやかな願いでさえ、このちゃらんぽらんな神さまは叶えてくれそうもない。







「あれー? ミサキー?


なんで無反応なん?

聞こえへんのかー?


愛しのたっちゃんが来てんでー?」







首を傾げて顔を覗き込んでくるたっちゃんの視線を避けるように、あたしは顔を背けて答える。







「せやから愛しくないっちゅうねん!!」






「あ、なんやー、やっぱり聞こえとったんやん。


ほんまツンデレやなぁ〜」







「デレることは一生ないて、こないだ言わんかったか?」






「ええねん、ええねん。


みんなの前でデレるんは恥ずかしゅうて、ツンツンしてんねやろ?


俺には分かっとんねん、照れんでもええねん、ええねん」






「……………」






あたしは邪気を吸われた魔物のように、脱力した気分になった。





そうや、たっちゃんのお花畑頭には、とうてい敵わへんのやったわ。