モテるんは俺の趣味やっ!

商店街じゅうに響き渡りそうな声で叫ぶ声がこちらに届いた。






店の中で本を物色したり立ち読みしたりしていた数人が、驚いたように外に目を向ける。




つまり、それくらい大きな声。







………ありえへん!!



ほんっま、ありえへんやっちゃ!!




こんな休日の真っ昼間、商店街のど真ん中で、あほみたいに大声出しよって!!




迷惑でしかないわ!!






そういうわけで、あたしは、無視することを即刻決定した。






「あれー、ミサキー!?


聞こえんかったかー!?


おーい、ミサキー!!」








無視、無視、無視。




触らぬ神に祟りなし、や。






しかし、その神は、触ってこない人間にも祟るつもり満々の、たちの悪い神だった。







「みっさきー!!


おはようさん!!」






「……………」







祟り神、ことたっちゃんは、いつものへらへらした笑顔で、店の中に入ってきたのだった。