モテるんは俺の趣味やっ!

昼前になったころ、やっと客足が少し落ち着いてきた。




それにともない、あたしのイラつきも少しだけマシになる。



まぁ、少しだけやけどな。






あたしはほっと一息ついて、レジの左手にある出入り口のほうに、なんとなく目を向けた。





店の前の通りを、たくさんの人が歩いていく。




スーツで足早に通り過ぎていく男の人や、手をつないで喋りながらゆっくり歩くカップル、立ち止まって話し込んでいるおばさんの集団。






いろんな人がいるなぁ、とぼんやり考えていると。






通りの向こう側、飲食店が並んでいるあたりの真ん中で、せわしなく動いているフレッシュグリーンの物体。







「…………あれは、もしや」







思わず、独り言がもれてしまう。







「………うぅわぁ。


嫌な予感しかせぇへんわ………」







そして、嫌な予感は、的中した。






いつも競馬雑誌を買いにくるおじいさんが店に入ってきて、自動ドアが開いた瞬間。







「みぃさきーっ!!


たっちゃんがここにおんでーっ!!」