「はいはい、ケンカ終わり!!」






険悪な雰囲気を見兼ねてか、お母さんがキッチンで声をあげた。






「もー、あんたら、その年んなって姉弟ゲンカなんて、シャレならんで。



ほら、ユタカ、朝ごはん出来たで?


こっち来ぃな」






「俺が悪いんちゃうって。


姉ちゃんの口が悪すぎんねん」







ユタカはダイニングに向かいながら、ぶつぶつと文句を言う。







「あーあ、おしとやかで優しい姉ちゃんなら良かったのに!!」







あたしはくすっと笑って、ご親切にも教えてあげる。







「そんな姉ちゃん、あんたのだぁい好きな漫画の中にしかおらへんて。


幻想や、フィクションや」






「いーや、カネダんとこの姉ちゃんは、美人でいっつもにこにこしとる!!


あの姉ちゃんは絶対やっさしぃわ!!」






「そんなん外面やて。


外ではにこにこしとっても、家の中ではきっついに決まっとる」






「あないきれーで可愛ええ人が、うちの姉ちゃんみたいに毒舌なわけあるか!!」






「まぼろしー!!」







ユタカはむすっとしながら朝食を食べはじめた。