「ほんで、受験生よ。


ちゃんと勉強しとんの?」






あたしが訊ねると、ユタカはテレビに顔を向けたまま、不機嫌な声で「しとるわ」と答える。






「ほんまにー?


昨日あたし12時前に帰って来てんけど、あんたの部屋まっくらやったで?


ええんかなー? 三ヶ月後にセンター控えた受験生が、そない早々に寝てもうて」






するとユタカはテレビから視線をこちらに移して、あたしを睨みつけてきた。






「あーもー、いちいちうっさいな!!


言われんでも分かっとるっちゅうねん!!


自分がお気楽な大学生やからって、人のことに口出ししとってええんか!?


毎週毎週飲み会やなんやて遊びほうけとって、進級できんかって留年とかなったら、心から大笑いしたるわ!!」





「あほぅ、あんたは知らんやろけどな、あたしは至極まじめな学生なんや!


めちゃくちゃちゃんと勉強しとんねん、いらん心配してくれんでええわ」






ユタカの頭を小突きつつも、あたしは少し反省する。




あたしだって受験生のときは、勉強してんの?とか親に言われると、めちゃくちゃイライラしていた。





それなのに弟に同じことを言ってしまうとは、年寄りくさくなったものだ。