「お前もなんで、言い返さねぇんだよ。俺が頼むなんてどう考えても嘘に決まってんだろ。」
 

「....嘘だったの?!あたし、てっきり本当の事かと...」


なんだぁー。


ホッと胸を撫で下ろす。


「....俺があいつらを嫌ってる事ぐらいお前にも分かるだろ。」


「忘れてた!!」


あたしの言葉に呆れたようにため息を吐く。


「もういい。それよりさ、その『新川君』っていうのやめろ。

聖夜でいい。」



「えっ?でも、汐里ちゃん達に勝手に人の名前呼ぶなって....言ってなかった?」



「あいつらとお前はちげぇよ。」


ドクンッ


何だろう.....お前は特別って言われてる気がして嬉しさが込み上げてくる。



こんなの、あたしの妄想なのに…。



「.....ってことで、次からは聖夜だからな。

新川君なんて呼んだらどうなるかわかってるよな?」


呼んだ時の事を思い背筋が凍る。


呼んだらヤバそう。

絶対に呼ばないようにしなきゃ。


「お前さ、帰らねぇの?」


「あっ!!そうだ!!帰らなきゃ!!」

慌ててカバンを持ち帰ろうと扉の方に歩こうとしたとき、

「待て。」


あたしの腕をあ...じゃなくて聖夜君が掴む。



「なーに?」


「送る。」


「えっ?いいよ!!迷惑になっちゃうし!!大丈夫だから!!」


「ダメだ。」


否定したが否定され結局送ってもらうことに。


靴を履き替え外に出る。


校門を出てしばらく歩き始めたが、

無言.....


さすがに、無言はキツいから話し掛けて見よう!!
 
「あ、あのさ....聖夜君の事も名前で呼ぶんだしあたしの事も名前で呼んでくれない?」


ずっと、思っていた事を言ってみる。


「.....-----無理」


えーー

「なんでー?ずるいよ~…聖夜君だけ~」


一気にテンションが下がる。


「くるみ」


ッ!!!!


「い、今なんて言ったの?!」


「....別に。名前で呼んで欲しいんだろ。」


「もう一回!!もう一回いってくれないかな?」


「無理」