誰も知らない物語






僕らは彼女を放置して、山路を進んだ。
三日三晩歩き続け、やっと山の麓に里が見えてきた。



「片腕の奴が仲間になりたいって言うから、驚いたよな!」

「片腕で忍が務まるのかと思えば、あっさりリーダーがやられるし!」

夜、焚き木を皆で囲んだ。
さっき男が仕留めた兎が晩ご飯だ。

「そういえば、何故文を奪ったんだ?」

「なーに、簡単なことだ。
お前のところが向こうの里と協定を結べば、力の拮抗が崩れてうちの里が危険になる」

「……」

「ふたつの里が手を組めば、さすがに太刀打ちできないからな」

平和のために、平穏のために。
その為に結ばれるはずだった協定。

そんなことのために、師匠は殺されなきゃならなかったのか。

平和のためではなく、争いのために。