素直になりなよ、ドラゴンくん!


「そ、ソンナコトハはない。我が輩は、スライムを見ると、叩き落としたくナルノダ」

スライムがくぶる必須であった。

しかして、ここでおめおめと逃げ帰る訳にもいかない。レベルを上げ、ゲームプレイヤーに一泡吹かせる存在として、表舞台に立たなければならないのだ。

スライムBがスライムCに話しかける。
「俺が囮になる。お前は、その間に僧侶を倒すんだ」「やだよっ!Bを犠牲になんか出きないよ!」「心配すんなよ、C。俺があんな爬虫類にやられる男かよ」「B……」「プレイヤーを瞬殺できるレベルにまで、なるんだぞ。それにーー」

【スライムBのこうげき!】

「女の前でかっこつけたがるのが、男ってもんよ」

「いやっ、Bいいぃ!」


【スライムBは、ドラゴンにこうげきした!】

「丸聞こえでやりにくいだろうがあぁ!」


それでも叩き落とす(やっちゃう)ドラゴンであった。

「Bいいいぃ!」と、先ほどと違う悲痛の声が上がった。

「僧侶!」

「は、はい!」

先ほどのスライムの茶番(やり取り)でホロリとした僧侶も、背筋が伸びる。

「この流れは確実に、スライムどもが合体する流れだ。BのHPはわざと1だけ残している。さあ、貴様がトドメを刺せ。あんな雑魚でも、レベル1の貴様なら2まで上がるであろう」

「くっ、カッコ悪いところを見せちまったな」「そんなことないっ、そんなことないよB!すっごく、かっこよかったよ。惚れちゃうほど」「C、それじゃ」「う、うん。恥ずかしいけど、Bとなら出来る。合体、して」

「やはりなったな!さあ、僧侶!トドメを!やらなければ、やられる!この世界の掟だ!」

「わ、分かりました」

意を決した僧侶。木の杖を持ち、呪文を唱える。