ページ全体にハートマークびっしりだった。
『もう彼は、あなたなくしては生きていけない子犬ちゃん状態。ここまでくれば危険信号。ストーカーされたら110番で警察よ!警察との出会いも見込めるわ!』
「誰がストーカーかああぁ!」
「ぎゃー、ページががが!」
びりびりにされた本。もうお嫁に行けないとむせび泣くのを後目にすれば。
どすんと、背中から体当たりされた。
「アグアグさん見つけましたー」
恐らくは、だーれだ!とやりたいのであろうが、彼女の身長では、ドラゴンの目に手が届かない。
仕方がないと屈めば、背中によじ登ってくる。
「光栄に思えよ、僧侶。我が輩が乗せるということはーー」
「変な人におっかけられました」
「そういうことは、先に言え!」
「ごめんなさいっ。アグアグさん見つけたら、安心しちゃって、嬉しくて……」
「そ、そそ、そうか。まったく、貴様は我が輩いなければ、何も出来ない奴だな。ど、どれ我が輩がその変質者を退治してやろう。代わりに貴様は、我が輩の頭に触れるのだぞ。ーー違う。『ポンポン』ではなく、『いいこいいこ』でーーじゃなくて」
なぜ分からないかとプンスカなドラゴンに石が投げられた。
「見つけたぞー、違法ドラゴン!」
そんな名で呼ぶのは、勇者であるが、ドラゴンの前に現れた勇者はーーパンツ一丁であった。