そんな村人ABが通り過ぎた道筋に、一冊の本と緑龍がいた。

一冊の本を切り株の上に置き、緑龍ーートライアグルは挑むように言う。

「好感度を見せろ」

「いや、旦那ー。あくまでもオレは、この【ファンタジアスカイ】の記録件資料屋であって、そんなどこかのギャルゲーのような機能は」

喋るは、本。表紙についた唇がパクパク動く。

「見せろ、やれば出来る。出来なければ、トイレットペーパーにして、トロールの便所に置くぞ」

「そっこーやらせて頂きます!」

それだけは嫌だと、本がパラパラめくられていく。

「で?旦那、誰との好感度ですか?」

「……」

「旦那?」

「れ、れ、れれ、レキ」

「ああ、はいはいはい。旦那の飼い主たる僧侶レキさんですねー」

「だ、だまれっ、声が大きい!花粉症オークにティッシュとして贈呈するぞ!」

「さーせん。ええと、あ、はい。こんなもんですかねぇ」

開かれたページには、トライアグルとレキの写真。左ページにレキ、右ページにトライアグル。

「これが、今の僧侶レキのあなたへの好感度です。ハートマークの数が多ければ、相手はあなたスキーの証です。ちなみに、マックス五個」

ハートマークが3つだ。
5個の内の3がハートマークであり、補足するような文字を見て、トライアグルは知らずと尻尾を振った。

『あなたのことを気にし始めています。もうここまで来れば、友達以上!頼れる存在なあなたに、彼女もメロメロになっていくわ!』

「ふ、ふふ、友達以上か……」

「旦那ー、ニヤニヤして、どうしたんすか?」

「う、うるさいぞ、阿呆」

べしっと叩かれた本が、次ページを開く。

左にトライアグル、右にレキ。つまりは、トライアグルがレキに持つ好感度だが。