「ねえ、勇者ぁ。ここ寒くないー?」
「さみゅいよー」
「はっはっはっ、俺に近づくが良い。温めてやろう!」
ハーレムに鼻の下を伸ばす体たらく勇者になってしまった。
「ん、そこの僧侶!お前、フロステを回復させたな!ちっ、母親に臆することなく、さっさとトドメを刺したならば、回復など出来ぬのに!」
今頃プレイヤーは、「母ちゃんまたカレーかよー」などと食卓にいるだろう。
「も、もうやめてくだーー」
「聞く耳持たん、敵キャラめ!俺と俺の女以外の者は、全て敵!つまりは、俺が倒すべき雑魚キャラだ!プレイヤーが来る前に、お前のようなバグは排除してやろう!」
勇者の剣に、炎の螺旋が走る。
「助太刀するにゃー、勇者しゃま!」
猫耳僧侶の補助魔法、アタックアップとヘイストの重ねがけ。
「きちんと守りなさいよ」
お姉様魔法使いは詠唱を唱え始める。
「アグアグさんっ!」
このままでは、盾となる位置にいるトライアグルがまともに攻撃を受けてしまう。
焦燥するレキ。それに対して、トライアグルはーー鼻で笑った。
「ふん。我が輩が、こんな輩に負ける訳がない。しかして、お前がそう心配すると思い、手筈は整えてある」
何を、とレキが思う間もなく、勇者一行より悲鳴が上がった。


