(今の、泣ける場面か……?) と言ったら、僧侶に軽蔑されてしまうことこの上なしなので、黙っておく。 「行きましょう、アグアグさん。せめて、頂上のボスだけは助けなきゃ」 「あ、ああ。なら、必然的にゲームプレイヤーの勇者も倒さなければな」 「……」 「話し合いなどと戯言を抜かすなよ。勇者たちは、我が輩を見るなり、問答無用で切りかかってくる」 「はい」 ドラゴンの手を掴む僧侶。 決意はあっても、決断する勇気がない。 もしもの時は、自身が汚れ役を買って出ようと、ドラゴンは心に決めるのだった。