「プレイヤーに捨てられた時、やっぱり……」

プレイヤーの預かり知らぬ所。
自分の置かれた状況をまた確認し、僧侶はやはり泣くしかなかった。

「うわああん!私も冒険したかったです!ヒールだけじゃなくて、メガヒールやギガヒール使ったり!仲間内から絶賛されるヘイストも使って誉めてもらいたかったですすすすす!」

ヘイストまじ便利。
そんな僧侶を上空より眺めし者一人。

「なんだ、あれは。さては、除外された僧侶か。これで何人目だ……」

翼をゆっくりと動かし、いかつい顔を更にごつくする緑龍。

ゲーム世界になくてはならないキャラ、ドラゴン。

仲間にしたいキャラナンバーワンでもあるが、使っていく内に攻撃性は優れているがそれだけで、他は凡庸だ。見た目だけがかっこいいんだな、こいつ。と、中盤あたりから飽きられ、除外されるキャラナンバーワンでもある。

他パーティーメンバーと均等が取れるように、サイズを幾分か縮小されたドラゴン。極端な話、身長160ほどのメンバーの集まりで、身長500メートルでは、画面に足しか映らない。なので、制作会社によって、画面に入り、尚且つドラゴンとしてそれなりの迫力ある身長ーー3メートルの緑の龍が僧侶の前に現れた。

「ひっ!」

あからさまな僧侶の怯えに、ドラゴンちょっと傷つく。

「おい、貴様。除外された僧侶だろう?」


二足歩行型のドラゴンに質問されたもので、僧侶はこくこくと頷く。声が出ないほど怯えているが、生存本能がドラゴンの言うことは聞けを遂行しているようだ。

「まったく、惜しいことを。僧侶にしか使えぬ補助魔法ヘイストをおめおめ除外するとは。後半あたりになって、攻略サイトを見て気づき、また僧侶をキャラメイクする阿呆が多すぎる」

はあと嘆息するドラゴン。
その言葉に、僧侶は目を輝かせた。

「あ、あの、じゃあ、物語後半になれば、私もプレイヤーさんのところに」

「ないな。お前は除外された。次にキャラメイクされるのはまったく別のキャラだ」

「そんなぁ……」