素直になりなよ、ドラゴンくん!


「それが、ゲームプレイヤーというものだ。世界平和のために魔王を倒す一方で、己がレベル上げのために、立ちはだかる者全てをなぎ倒す。敵キャラにとっての魔王とは、ゲームプレイヤーのことだ。

そんな奴の横暴に、我が輩は憤慨していたのよ。自分で作っておきながらーー名前をつけた言わば我が子にも等しいキャラを平然と親指一つで除外してしまう、その傲慢さもな」

「あれ?でも、アグアグさんを除外したのはお母さんでは?」

「勉強もろくにせず、昼夜逆転生活を続けるゲームプレイヤーの怠慢さにも憤慨していたのだ!よって、我が輩たちはこれから、ゲームプレイヤーの世界に行き、敵キャラとして奴を屠る!」

「でも、復讐は」

「いいから頷け!」

「はい!」

よしっ、とドラゴンは僧侶を背に乗せる。


「冒険の始まりだ」

宿屋の窓からの旅立ちは、いっそ清々しいものであった。