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僧侶が戻ってきたのは、30分後であった。
「お待たせしました」
「遅いぞ!」
大きなおぼんの上に乗った食器がかちゃりと鳴る。
「ごめんなさいっ。宿屋の人に、ここは朝食とか作んないから。金払って暗転、後の回復宿屋だからー。とか言われてしまったので、台所お借りして、私が作ってみました」
机に並べられる料理。メインはベーコンエッグ。サラダにスープ付きの朝食だった。
実を言えば、僧侶が朝食を作っていたのは知っていた。五分経っても来ないので、様子を見に行ってみれば、台所にいる僧侶発見。二人分の調理をしていることから、ドキドキしながら大人しく部屋に戻ったドラゴンは。
「に、肉がないではないか!我が輩ぐらいになれば、トロールの肉でも足りないほどだというのに!」
面倒な性格でした。
「も、持っていたお金じゃ、お肉まで買えなくて。食べたくない、ですか?」
「腹の立し程度に食ってやる!さあ、貴様は席に座れ!いただくぞ!」
椅子は壊れるので、床に座るドラゴン。
「アグアグさん、フォークを使うんですね」
「我が輩は高貴な生き物だからな。手づかみなどと野蛮な食べ方はしない」
「お利口さんなドラゴンさんですね」
「ああ、食べ物を食い散らかさないお利口さんだ。さあ、撫でて誉めるがーーじゃなくて!」
ポキッとフォークが折れた。
「食事をしながらでいい、聞け。話が流れる前に戻す。我が輩たちは、これからゲームプレイヤーに復讐する旅へと出る」
「復讐、ですか。でも、除外されたこの世界じゃ、どうあってもゲームプレイヤーさんが見ている世界には行けないはずじゃ」
「いや、方法はある。敵キャラとしてならば、ゲームプレイヤーの前に現れることが出来るのだ。スライムだけでなく、敵として現れる盗賊等の人型は、皆、その昔、ゲームプレイヤーによって除外された者たちだ」
「た、確かに、使い回しかと思って気にしていませんでしたが、そんな、彼らは……」
「ああ。ある意味、プレイヤーに二度殺される運命の者たちだな。一回は除外。二回目は敵として屠られる」
「ひどい……」


