素直になりなよ、ドラゴンくん!


ーー

除外者の村。
勇者の村の使い回したる小さな村は、各地にいくつもある。

その中の一つたる村の宿屋についた、ドラゴンと僧侶のパーティーは。

「貴様、我が輩に金を払えというのか!このボロ宿を吹き飛ばしてやるぞ!」

「お客さーん、そりゃ無理だ。この建物は、魔王群の敵キャラが攻めて来ない限り不滅の、勇者の村の宿屋だ。ま、レプリカだけど。物語後半において、実は魔王の真の力が封じ込められているのはこの村の地下だと気づいた勇者が急いでかけつけるも、時すでに遅し。魔王群によって滅ぼされた村、そうして、地下から湧き出る魔王城。空中に佇む魔王城に向かって勇者は新たに魔王を倒す決意をする村ですので、その時まで、この村の建物は壊れませんよ」

「そしたら、物語がめちゃくちゃになってしまいますからね!」

「納得するな!ちっ、致し方がない。先ほど倒したスライムたちから拝借した金でも払ってやろう」

ふんぞりなドラゴンは、銅の硬化を三枚出す。

まいどーと、通された部屋は、狭い一室。ドラゴンの頭が天井すれすれである。


「あ、あの、宿代払ってもらっていいんですか」

「先ほどのは、貴様がトドメを刺したスライムどもから得た金だ。貴様の金で、我が輩も今日はここに泊まってやる。いくら除外された者の世界とて、勇者にやられた魔王群の敵キャラがこちらに来ないとも言い切れんからな」

「アグアグさん、もしかして」

「へ、変なことを考えるなよ!我が輩が、貴様のために一緒にいるなどと」

「本気でこの宿潰すために、魔王群敵キャラに加わるおつもりですか?」

小突かれた。

「うぅ……」

「泣くな、阿呆。HPが1しか減らぬよう加減した」

「私のHP8です」

「さっさと寝て回復しろおおぉ!」

僧侶をベッドに寝かせ、布団をかけてあげるドラゴンだった。