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「うぅ……。キャラメイクされた途端、除外されちゃいましたぁ」

泣き咽ぶ僧侶ことレキは、晴れて【ファンタジアスカイ】のゲームに産まれることが出来たが、作成されるなりに戦力外通知を受け、捨てられてしまった。

このゲームのプレイヤーは、12種の職業から、三人のパーティーメンバーを選び、作成ーー顔や体格の容姿まで好きにキャラメイクし、広大なる地の冒険に挑むわけだが。

「女魔法使いさんも回復魔法使えるなんてー、私のいる意味はなんですかぁ!」

女魔法使いは魔法攻撃力が高く、僧侶は魔法防御力に長けている。レベルを上げれば、僧侶は主にパーティー支援の能力に目覚めるが、序盤で攻撃魔法も使えないキャラはどうやら魅力的でないらしい。

よっての話、無惨にも捨てられた僧侶。

僧侶レベル1。
攻撃力2。
防御力1。
魔法攻撃力3。
魔法防御力6。
使える魔法、ヒール。


女魔法使いレベル1。
攻撃力1。
防御力2。
魔法攻撃力6。
魔法防御力3。
使える魔法、ファイア、サンダー、ブリザド。


このステータスを見た瞬間に、どちらを選ぶか言うまでもない。

除外された僧侶は、しばらく泣いていたが、よくよく考えれば、ここはどこだろうと顔を上げる。

「草原?物語序盤にある、主人公の産まれ故郷から隣国の王様まで会いに行く道すがらがこんな感じだったと思いますが……」

それにしては、辺り一面の緑。
ゲームプレイヤーが飽きないよう、序盤はサクサク進める親切設計。大きなお城が目と鼻の先にあってもいいのに。

「もしかして、天国……?」

ゲームキャラクターが死ねば、宿屋で休むだけで後日復活される。パーティーが全滅し、ゲームオーバーになってもセーブした場所から再開出来るので、実質、ゲーム世界に死の概念はない。

セーブ&ロードが成り立つ世界。しかして、死という概念が存在するならば。