「そんなの、あんた食べなくていいわ。 誰のかもわからないのに」 そういって、取り上げられる。 お母さんはいつも、欲しいものは全てあたしから奪い取る。 「…どうぞ」 そういって、差し出す。 「嘘、よ」 お母さんは、瞬間の中でケーキを手で弾いた。 「あっ」 ケーキは床に、ぐちゃぐちゃに落ちる。