お母さんが下にいるし、窓も開いた形跡はない。 その写真立てを手に取る。 「…」 そこに写っているのは、死んだいとこのお兄ちゃん。 お母さんの妹の、子供で1個上だった。 あたしがお父さんに暴力を振るわれて、よくお兄ちゃんの家に逃げてた。 顔とか、全然似てないけど考えてることは同じだった。 お兄ちゃんの家、遠いのに電車とかで必死に会いに行っていた。 だけど、今となってはもういない。 1人っこのあたしにとっての、希望の存在は手の届かない所に行ってしまった。