涙が出なくてよかったと思う。 その雑巾を握り締めて、教室へと戻る。 ぴちゃんと、水滴が床を濡らす。 「あれぇ?? 使わなかったの??」 あたしは雑巾がけに、戻すと鞄を手に取る。 「あー、逃げちゃうんだ」 『お前って、いつも逃げるんだな』 『逃げるなよ』 同時に頭の中に、優しい瞬の声が響いた。