“すげぇ仲良さそうだった”
いつか、慶樹くんが言ってた言葉。
相手は綺麗な女の人。
遠くから見ても親しそうな二人。
こんなちんちくりん、愛想つかされて捨てられても仕方ないのかもしれない。
だけど、今日は何があっても逃げない。
ちゃんと言葉にして伝えようと思う。
意を決してリビングのドアを開けた。
その音に振り返った神矢くんは驚いた顔をする。
「……おまっ、何してんだよ」
ポタポタと、髪についた雫がフローリングに落ちる。
驚くのも無理はない。
この前のおかしなキャミソール姿でもなければバカにされたくまさんパジャマでもない。
あたしは今、濡れた髪のまま身体にバスタオルを巻きつけただけの格好でリビングにいる。
あたしだってこんなことしている自分がおかしいし、恥ずかしい。
でも、もう逃げたくなかった。

