あたしは繁華街を歩いていた。
行き先なんてわからない。
だけど、この前慶樹くんが話していた言葉を頼りに……
女の勘って言うのはつくづく怖いと思う。
知らない方がいいことだってあるのに。
見た光景にあたしはその場から動けなくなった。
そのときまで、あたしは考えもしなかった。
ずっとあたしのそばにいてくれると思ってたから。
他の誰かに神矢くんを取られるかもしれないなんて、考えもしなかった。
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家に帰ると当たり前のように神矢くんがいて、いつもと同じように時間は流れる。
あたしの様子がおかしいことに神矢くんは気付いていない。
でも、本当はもしかしたら気付いいるのかもしれない。
どんよりとした気持ちで湯船に浸かる。
きっと、あたしの嫌がることをしない神矢くんに甘えていた。
今日見た光景が脳裏に浮かぶ。

