「あたしたちのことはいいの!それより神矢とあんたのことでしょ!」
まだ、頬が真っ赤な理沙は慶樹くんから顔を背けて言う。
「え?芽衣ちゃん、やっぱり聖となんかあった?」
何かを知っているような言葉にあたしは違和感を覚えた。
「……やっぱりって?」
別に何もない……けど。
なぜか一気に不安が押し寄せてきた。
「実はさ、アイツ最近よく電話してんだよね。相手は男か女かも誰かわかんねぇけど」
……電話。
「それって怪しくない?芽衣、家では電話してないの?」
「すぐ部屋行っちゃうし分からない…でも、この前、電話かかってきてたような……」
そのとき、その場で電話に出なかったんだよね。
「まさか……浮気!?」
理沙の高い声が教室に響いた。
「ま、まさか……そんな」
神矢くんが……
「まあ、昔のアイツならありえなくねぇけど。芽衣ちゃんがいながらそんなことはやっぱないよな…ゴメン、変なこと言っちゃって」
「そんなことないよ…教えてくれてありがとう」
胸にモヤモヤを残したままあたしは笑顔を作った。

