8月23日。午後10時。
聖の誕生日まであと2時間。
香織ちゃんの実家が営むレストランでは理沙、慶樹くん、零士くんたちとパーティーの準備をしていた。
「本当、申し訳ないっ!お店まで借りちゃって……」
ケーキのデコレーションをしていた香織ちゃんは柔らかく微笑んで首を横に振った。
「ううん、そんなこと気にしないで?それに閉店後だしお父さんも芽衣ちゃんのお願いなら聞かないわけにいかないっていってたし!」
お店のアピールにもなるし!と香織ちゃんは付け足して言った。
「あ、このチョコのネームプレートは芽衣ちゃんが書いて!」
香織ちゃんにチョコペンを手渡されあたしはプレートに"聖 お誕生日おめでとう!"と真剣になって書いたのだが……
「……わっ、な、なんか…ホラーだよね…」
なみなみっとしたチョコペンとあたしの字体が混ざり、異様なホラー感が出てしまった。
「そ、そんなことないよ!きっと喜んでくれるよ!!」
ガックリとしたあたしに香織ちゃんは素早くフォローを入れてくれる。