「さ、最低っ!ほ、本気で…!」
「じゃあ今すぐ、続き、する?ソファーでいいなら。でも芽衣ちゃんしんどいからベッドがいいだろ?」
へっ!?続き!?
ベッドがいいだろ?って何言ってんだこの男!
「ウソだよ、バカ。焦んな、いきなり取って喰ったりしねぇし」
ハハッと笑っていた聖だけど
急に静かになり、あたしの肩に頭を預けるようにして乗せた。
ドキッとして身体は反応するけど、またからかわれるような気がして何とか平静を保った。
「オレさ、家族とかよくわかんねぇんだ」
いきなり、ボソッと聖は呟く。
「さっきも言ったけど、子どもの頃に家族とどこかに出かけるなんてなかったし。親からの愛情?そんなの知らないで育った」
イルカショーのとき、家族と出かけるなんてなかったって遠い目をして言っていたのが脳裏に過る。
「母親はオレが小学校に上がる前に病気で亡くなってよ、家政婦の作る料理とか無駄に覚えたりして…今じゃ普通に作れるようになった」
あたしの肩に寄りかかる聖は少し小さく見える気がした…
知らなかった…お母様が小さい頃に亡くなっていたなんて。
それも、ひろきくんと同じ歳ぐらいに…

