「ひろき、ちゃんと芽衣お姉ちゃんと聖お兄ちゃんにありがとうって」
松野さんに言われてもひろきくんはそっぽを向いたままで……
「……ヤダ」
ひろきくんは小さく呟いて
あたしと聖の元へ走ってきた。
「ひじりとメイとはなれたくない…」
あたしと聖の手を小さな力が強く握る。
「ひろきくん…でもまた会えるよ!一緒のマンションに住んでるんだもん。また一緒に遊ぼ?」
ひろきくんの目線に合わせて言っても、ひろきくんは涙を浮かべたままうんともすんとも言わない。
「ヤダ…ずっと一緒に…」
「ったく、いつまでもピーピー泣いてんな!それでも男か?いい男はな、女の前じゃ泣かねぇの。泣き虫じゃママも守れないぞ?」
聖はひろきくんの頬っぺたを両手で包んでそう言うと、魔法にかかったようにひろきくんは泣き止んだ。
「うっ、おれ、ママを守れるようになるっ」
「おう、ひろきならできるよ」
ポンポン、とひろきくんの頭を優しく撫でる。

