「そうよ、今日だってひろきのことがどうしても気になってすぐに帰ってきたの。パパもママもひろきが大好きなんだからねっ…」
ひろきくんママもギュッと抱きしめ声が震えていた。
声をあげて泣くひろきくんを見てあたしも涙が浮かんだ。
そして、あたしはひろきくんたちに向かって大きく拍手を送る。
よかったね…ひろきくん。
周りのお客さんたちもあたしにつられて立ち上がり拍手を送る。
「……ったく、世話がやける」
なんて、聖は言いつつも大きな拍手をひろきくんたちに送った。
思わぬ形でイルカショーが終わり、外に出るとすっかり暗くなっていて少しだけ星が見えた。
「芽衣ちゃん、聖くん。今日は無理なお願いを聞いてくれて感謝してます。お陰でたくさんのことに気づかされました。本当にありがとう」
パパとママとしっかり手を繋いだひろきくんは今朝よりずっといい顔をしている。
「いえいえ、あたしたちも楽しかったですから!ひろきくん、ありがとね!」
ひろきくんの視線に合わせしゃがんで言うと
ひろきくんはそっぽを向いた。

