慌てるあたしを見た渉は呆れるように笑ってリビングから出て行った。



渉が出て行ってからもなお、聖は抱きしめる力を弱めることはない。



「……どう、したの?」


そっと顔をあげた瞬間、素早く唇が重なった。

まるであたしが顔をあげるのを待っていたかのように。


思いをぶつけるような口づけは荒々しく貪るように激しい。

苦しいのに聖がくれるキスはいつだって甘くて溶けてしまいそうになる。

だから抵抗だって忘れてしまうんだ。



「いつもみたいに抵抗しねぇの?」


ぼやけた視界にフッとイジワルに笑う聖がいた。


「…離れたくない、もん」



恥ずかしくなって俯くと聖は怪訝そうにあたしを見つめる。



「煽んのも、上手くなったもんだな」



そう言ってチュッと目尻にキスを落とした。