「だから…?あたしはもう離れるつもりないよ」
ギュッと手を握り俯いた。
もう離れたくないよ。
「それに、聖はいいの?あたしが他の男の人と一緒に暮らしても」
今度はジッと聖を見上げるようにして見つめた。
どうしてそんなに余裕なの?
あたしだけがこんなに好きなの?
どうしてあたしだけ……
「なに、妬かせたいの?」
呆れたように、でもどこか楽しそうに笑う聖と視線が絡む。
「どーせ、幼なじみで初恋の相手だとかだろ」
フッと勝ち誇るように聖はニヤリと笑う。
それがなんだか悔しくて意地になってしまう。
「ひ、聖は平気なの?…あたしと渉が一緒に」
「平気なわけねぇよ」
さっきまであたしだけが握っていた手を聖は離してちゃんと繋いでくれた。
「……平気なわけねぇじゃん。もう妬いてんだよ」
そう言って目を逸らした聖の頬は少しだけ赤く染まっているような気がした。

