「……え?」
いきなりそんなことを言うものだから腑抜けた声が漏れた。
戻るって…
「な、何で?嫌だ、嫌だよ!」
思わず声を荒げると、聖はあたしの腕をとってリビングを出る。
「…契約、しただろ。何か問題が起これば同棲は終わりだ」
あのときの契約書。
確かにそうは約束したけど…!
「わ、渉がいるんだから同棲じゃなくなるんじゃないの!?」
そう必死になって言うと、聖はフッと笑った。
だけどすぐ真剣な表情に変わった。
「今回はご両親の件もある。もうオレの独断で軽率なことは出来ない」
……何それ。
「……お父さんに何か言われたの」
お父さんと二人で何か話しているのを思い出す。
「いや、それは違う。でも本当は心の奥でずっと思ってた。ちゃんと直接ご両親に話さず芽衣と暮らしていいわけなかったって。だから…」
あたしは聖の手をギュッと握った。

