「ご挨拶遅れて申し訳ありません。以前、上の階の部屋を借りたいと申し出た神矢雅彦の息子、聖です。」
何の躊躇いもなくスラスラと言う聖。
あたしは驚いて口が開いたままだった。
「今、芽衣さんと真剣にお付き合いさせて頂いています。」
真剣にお、お付き合い……
そんなふうに言ってくれるんだ。
徐々に体温が上がっていくようだった。
なんだか結婚の挨拶みたい…
「実は、去年の春から僕はここで同居と言う形でこの部屋に住んでいました。そのことを御両親にお伝えしなかったこと本当に申し訳ありませんでした。」
深々と頭を下げる聖に胸が締め付けられる思いになった。
そんなこと……
「まあ、座りましょうか」
お母さんはにこやかな笑みを浮かべ、あたしたちをソファーに座るよう促した。
その感、お父さんはまだ深妙な表情だった。

