家に帰ってもなんだか気持ちが
スッキリしなくてイライラしていた

『ユウキちょっといい?』

そんな中、おふくろの声が階段から聞こえた


なんだよ…?

ブツブツ文句を言いながら渋々一階に降りた

『これ』


そう言って指をさした先には進路調査表の紙

リビングの机の上にポツンと置かれた


『なんでここにあんの?』

『あんたの部屋の机に置いてあったから』

おふくろは椅子に腰掛け、コップに入っているお茶を一口飲んだ


『勝手に部屋入るなよ』


今は些細な事ですらイラついてしまう

しかも今は進路という言葉を
最も聞きたくない


『これ“就職”に丸付いてるけど』


『…あぁ』

他人事のように軽い返事をすると

『そう、よかった!
あんたが大学とかに行きたいって言ったらどうしようかと思ってたのよ』


おふくろの顔が急に笑顔になった

それを見てまた一つイラつきが積もった

『まぁ就職するって決めてくれたらいいのよ。たくさん働いてお母さんを楽させてね』


そう言って進路調査表を俺の手に渡した

もうなにも言葉は出てこなかった


その代わり大人への不信感が大きくなっていった