手早く制服に着替えてぱたぱたと
 階段を駆け降りてリビングに向かう 。

 美味しそうな朝食の香りに
 さっきからわたしのお腹は
 限界みたい 。少しは静まれ 。

 コーヒーの芳ばしい香りと
 ミートボールの甘辛な香りが
 鼻腔を擽る 。
 今日もわたしの好きなのだ !

 6人掛けのテーブルの片側二席に
 兄達が並んで座っている 。
 さっきまでの騒がしさが嘘みたいに 、
 二人並んで静かにコーヒーを
 啜っているのがサマになっている 。

 そんな兄達の向かい側が 、
 わたしの定位置 。

 いそいそと座りまだかまだかと
 兄達を見つめる 。
 " いただきます " と " ごちそうさま " は
 ちゃんと言うようにってお母さんに
 言われているからなのだ 。
 そんなうちの習慣は 、両親が不在の為
 兄達が代わりに引き継いでいる 。


 「 もう 早く 、お腹すいた 」

 「 てめぇはほんとに色気より食い気だな 」

 「 女の子は少し丸い方が可愛くないかい ? 」

 「 •• 確かに 。触り心地は良いよな 」

 「 ・・・• きもっ 」


 ムッツリ共め ! ハゲろ !

 女の子談義に花を咲かせていた
 兄達も 、わたしのじとーーー っとした
 視線に気付いたのか大きく咳払いをし
 姿勢を正してくれた 。


 今日も我が家の食卓には三人分の
 揃った手を叩く音と 、

 「「「 いただきます 」」」

 ーーーが響くのでした 。