夢の中で響いたわたしの叫び声は
 現実にも響いていたみたいでした 。


 「 急に叫び声が聞こえたから心配して
   来てみりゃ 、まくら投げるとかよォ 」


 美弦ちゃんはさっきからこの調子 。
 ごめんってば 、と声を掛けても
 ごはんをかきこむだけで 、思わず
 眉を下げてしまう 。

 そんなわたしの頭にぽんと手を置いて
 優しく撫でてくれるのは命都くんで 、
 見上げた顔はにこやかだ 。


 「 怖い夢でも見たの ? 」

 「 •• うん 。うるさくしてごめんね ? 」

 眉を下げて伝えれば命都くんはゆるく
 首を振って怖かったね 、と撫でてくれた 。


 「 命都くんは優しいなあ •• 」


 思わず漏れた言葉だったのだけれど 、
 美弦ちゃんは片眉を上げて唇を尖らせた 。
 拗ねているんだ 。分かりやすい 。


 「 美弦ちゃん 」

 「 ・・・• 」

 「 •• ありがとう 。心配してくれて 」

 「 ! 」


 僅かに頬を緩ませて別に 、と言う
 美弦ちゃんの機嫌はもう大丈夫みたい 。
 単純な兄で助かる 。



 7月14日 月曜日 。快晴 。

 今日の目覚まし時計 、無事 。



 ( 目覚まし時計割らなかったと思ったら
  次は叫び声とはねぇ )

 ( 命都くんうるさいよ ! )