橙磨と同じ高校なら、親も多分文句とか一切言わないはず。
昔からそうだった。
親は幼なじみの橙磨に絶対的信頼を置いてるから、橙磨が一緒ならなんでも良かった。
「なんか俺、腹減ったー」
「あたしもー。担任にあんだけ言われたら疲れちゃって、お腹空いたかも」
「あ!メロンパン食おっかな~♪」
下校途中にある小さな商店。
ここのメロンパンは最高においしい!
……食べたいけどお金持ってないし。
橙磨は商店まで小走りで行き、メロンパンを買ったっぽい。
「結香!」
「ん?」
「ほら!元気出せ」
「え……いいの!?」
「今日だけ俺の奢り♪」
一口食べたメロンパンの味。
ふわりと甘い匂いが広がり、あたしを幸せにする。
「おいしい……。橙磨ありがと!」
「どういたしまして!」
今日食べたメロンパンは特別な味がした。
でも、きっとこの味忘れない。