眠たそうな結香の腕をしっかり掴んで、家に帰ると案の定両親いなかった。
おじさんもおばさんも仕事か。
「ありがとねっ。橙磨のおかげで助かった。……ケホッ…」
「俺、やることやってくから。早く布団入って寝とけよ」
「うん……」
相当具合悪そう……。
2階に上がってく結香を見送ってから、見慣れた結香んちをウロウロ。
熱冷まし、風邪薬、氷のう……
ちゃんと全部あるな。
「結香~!部屋入っていい?」
「……いいよー……ケホッ、ケホッ」
ピンクの布団にくるまって、火照った顔の結香はなんかこう……そそる。
幼なじみに対して何考えてんだよ、俺、バカ。
「前髪上げて。シート張ってやるから!」
「それ冷たいから嫌い……」
「わがまま言わない!早く結香に部活来てもらわねぇと困るし!」
「頭にガンガン響くから、おっきい声出さないで……冷たっ!!…っ~」
「ははっ!大人しくしてろバーカ!」
パシッとシートを張り付けた額を叩いた。

