下駄箱に寄り掛かって、潤んだ目で俺を見上げた。


あっ………可愛い。


いやいやいや、そんなことより早く結香を家に送ってやんなきゃ。


「歩けるか?……ダメだな。腕、掴まれば?」

「んっ……いやっ…いいよ」

「今、結香は病人だ。彼女に悪いとか考えなくていいから」

「……ごめん。腕掴まる」

「いいよ」


俺の右腕にぎゅっと掴まる。


やっぱ熱出してるせいか、全体的に結香が熱くなってんな。


ヤバイ……すげー心配。



タイミング良くバスが来て、結香を座らせてから肩に寄り掛からせた。


「寝てていいから。着く前に起こすなっ」

「ありがと……。ごめんね……橙磨」

「謝んなって!ほら、寝とけ!」

「ん……そーする」



すぐに小さな寝息を立てた。


どんだけツラいんだろ……。


ましてや、結香は体力ないし平熱低いから相当キツイはず。


まずさ、コイツの家に親いんのか?


共働きだからいなかったら俺が帰って来るまで看病してやりたいし………



ダメだ。


結香のことになったら焦る。