「一人で帰っちゃうの?」


キョトン顔な橙磨が立ってた。


困った顔をしながら、あたしの手を握って胸に引き寄せた。


橙磨も……ドキドキしてるんだ…。


「そんな寂しいことしないでさ〜……卒業式だからこそ一緒に帰ろうよ」

「…ふふっ…!」

「な、なんか面白いこと言った!?俺!」

「千秋のこと見送っただけだよ!そんな不安にならないで!」


あたしが笑いながら言うと、恥ずかしそうに顔を逸らす。


そんなに思ってくれてたなんて………


すっごい嬉しい!



橙磨はいつも優しく甘い愛情をくれる。


幼なじみだからこそ、時にじれったくて素直になれない時もあるよね。



だからこそ、今ちゃんと気持ちを伝えさせて。



「橙磨!あたし……橙磨のこと好き。ずっと、大好き」

「そんなの言われなくても知ってるっつーの!…俺も大好き」



そのまま、どちらからともなく重なった唇は甘いもので。


これからも遠回りで、お互いに傷付くことあるかもしれない。


でも、あたしは橙磨じゃなきゃ嫌なんだ。


側にいてほしいのは、橙磨だけ。



「帰るか!」

「うん、帰る!」




幼なじみとの恋は甘くてじれったい。



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