【橙磨side】
8月も終わりに近付く今日だって、かなりの真夏日。
おかげで室内の部活なのに真っ黒だ。
俺の隣には、染めたての金髪が眩しいくらいに輝く日向。
試合中プリン頭だったのに、試合が終わってから留学のために染め直したんだって。
試合は途中で負けたけど、ベスト8入りしたから満足。
悔しいけどね。
「この体育館とも、しばらくお別れだな」
「…いつアメリカ行くんだっけ?」
「明後日」
「もうギリギリなのに、部活来てて大丈夫なの?」
「ギリギリだからこそ、慣れた空間にいたいから来ちゃった♪」
いつもの笑顔を俺に見せる。
なんとなく日向なら世渡り上手だから、うまくやる気がする。
「あ……でも、俺の唯一の心残り」
寂しそうに俯いて言ったのは、日向が大切でしょうがない子のこと。
「華奈のこと泣かせちゃった。アイツ泣いて離れてくんねぇの!」
「寂しいんだよ、きっと」
「あはは!可愛いとこあるよな!」
そうやって笑ってる日向だって、華奈ちゃんの側にいてやれないこと悩んだはず。
なんとなく分かるな。
笑顔の下に隠す寂しさ。

