試合になると全然余裕そうに、シュートを決めたり走ったり……
でもさすがに試合中はテーピング巻きっぱなしだった。
心配になる……。
試合終わりの帰り道。
橙磨と二人で人の少ない電車に揺られて家に帰る。
いきなり横に座る橙磨に、むにっと頬をつねられた。
「むっ!い、痛いっ……」
「なんでそんな深刻そうな顔してんの?せっかく試合に勝ったのに」
「そ、それは……橙磨が心配で…」
「俺?心配になるような場面あった?」
「試合じゃない!ケガ」
呆れたようにため息をついた橙磨から、今度はデコピン。
もう少し優しく彼女を扱ってよ!
「バーカ。今しかねぇんだから、頑張るしかないじゃん」
「へ?」
「日向とバスケ出来んのこれが最後だから」
……どうゆうこと?
日向くんもうバスケ出来ないの?
ちんぷんかんぷんなあたしに、橙磨は寂しそうな横顔で話した。
「アイツ9月から留学すんの。アメリカに。で、1月まで帰って来ないらしい」
「そう、なんだ……」
「あ、これは内密にな!」
あの日向くんが留学しちゃうんだ……。

