帰ろうって誘って帰ってみたものの、驚くほど会話がない。
俺らって、ケンカすると会話なくなるもんな……。
結局、重要なことを何も話さないままお互いの家の前まで来ちゃった。
ここまで来たらダメ元で誘おう。
「俺んち来る!?」
「なんで、いきなり?」
「なんとなく」
「じゃあ、行かない」
それって理由を言えってこと!?
拗ねた顔で結香は家の鍵をカバンから出した。
せっかくのチャンス逃すほど、俺はバカじゃないので。
「一緒にいたいし。話したいことあるからさ」
「うん。じゃあ……行こっかな」
結香を連れて来た俺んち。
7時で母さんが帰ってないってことは、今日は夜勤だ。
帰りは遅い。
「結香何飲む〜?」
「リンゴジュース」
「ねぇわ。オレンジかお茶か水」
「じゃ、オレンジジュース」
俺と結香の二人分のオレンジジュースをコップに注いで部屋に行く。
さて、どう話そうか。

