嫌がらせされたら、俺に言えって言っといたのに……。
変に気使ったんだ。
バカじゃん……。
「抱え込んでる結香さんを見てると、俺が助けたくなったんです。すいません…」
「…いや、いいわ。ごめんな?呼び出して」
「いえそんな…でも!」
「ん?」
「結香さんは悔しいぐらいに橙磨さんのこと大好きです。これは本当です」
もしかしたら、悠矢が俺に気を使って言ってるのかもしれない。
でも、これで俺がすることは一つ。
ちゃんと結香の話聞いてあげよう。
俺が言いづらい環境作ったんだ。
ごめんな、結香……。
部活が終わると、先に帰ろうとする結香を引き止めた。
びっくりした顔で俺を見上げる。
「…何?」
「ごめん……一緒に帰ろ?」
「別に謝らなくてもいいのに」
「ははっ…。だよな〜」
小さく笑った結香に、俺も笑ってみる。
ちゃんと笑えてる?
「着替えて来るから、ちょっと待ってて」
「自主練は?」
「……今日はいいや」
頷いた結香に安心して、俺は急いで着替えて下駄箱に行った。
多分、今の俺は汗くさい。

