【橙磨side】
最近疲れ気味の結香。
慣れないマネージャー業やってるせいか、ボーっとしてるのよく見掛ける。
部活中には、そんな素振り一切見せないから尚更心配。
アイツ強がる癖あるし………。
幼なじみの俺にすら甘えてくれねぇもん。
「ケホッ……」
「大丈夫?風邪?」
「ううん、別に。大したことないから。橙磨は練習戻って」
「おう……ツラかったら言えよ」
「分かってるよ~」
また、結香は笑ってはぐらかす。
一緒にいても強がられるだけなんて、実際すげー寂しいの知ってる?
結香にとって、俺がそれだけ頼りないってことだろ?
せっせとドリンクを少しずつ運ぶ後ろ姿を眺めた。
「好きなら行けばいいじゃんよ」
「日向……俺はね、結香のこと好きじゃねぇから。恋愛感情はねぇの」
「あっそ……。まぁ、俺は静乃さんに一途だからね~♪あ、静乃さーん!!」
静乃さんを見付けて猛ダッシュ。
俺もせめて日向ぐらい積極性あったらな………。
複雑なこの感情を知ることが出来たのか。

