橙磨には言ってないけど、その他にも嫌がらせはたくさんされてる。


こんな悪口手紙なんて可愛い方。


トイレの個室に入ったら、わざとトイレ内で悪口言われたり……


廊下を歩いてると、ぶつかられたり。



唯一、千秋だけには話してるから全部知ってる。


「橙磨くんに言おう?不安なら、あたしも一緒に話すから」

「無理だよ……。心配かけたくない」

「彼女に頼ってほしいでしょ、絶対に」

「簡単に頼れない。橙磨だって今、部活の新体制で精一杯なんだから……」


分かるもん、見てて。


副主将とゆう肩の荷が重圧になって、大変な思いしてるの分かる……。


マネージャーとして、幼なじみとして見てるから伝わってくる。


これ以上、責任を与えたくない。



あたしは悪口が書かれた紙をぎゅっと握り締めた。


「うん…よし!千秋!戻ろう!」

「結香……あたしの前では無理しないでね?お願いね」

「してないよ!だから今、泣けてきてるじゃん…っ」


勝手に溢れてくる涙を両手で押さえて、千秋は何も言わずに隣にいてくれた。


正直、精神はボロボロ……。