もう5時過ぎじゃんか~………。
この時期寒いのに受験生が風邪引いたら、どーすんのよ!
ひやひやする下駄箱に行くと、見覚えのある後ろ姿に声をかけた。
「橙磨!」
「お、結香じゃん!」
生まれた時から家が隣同士で、幼稚園、小学校、中学校と全部同じクラスの強運でいる幼なじみの佐倉橙磨。
茶髪をふわっとさせて、二重の可愛い目をした正統派イケメン。
バスケやってるせいか背高い。
幼なじみだから……とかじゃなくて、コイツはほんとにモテると思う。
「帰り随分遅いな。なんかあったの?」
「うん。二者面談だった。あのハゲ担任ちょーうざい!しつこい!」
「ははっ!あっ、後ろ!」
「嘘!?」
振り返った先には誰もいなくて。
視線を戻すと、イタズラな笑みを浮かべた橙磨がいる。
くっそ~…!!
「まっ、一緒に帰るか!」
「一緒に帰んなくても、どーせ方向一緒じゃん」
「つれないこと言うなって~」
何気なく隣を歩いた。