これで良かった。
橙磨と席が離れたことを機会に、この気持ちも断ち切ろう。
橙磨がしてくれたキスには所詮感情は無いんだから。
あたしがいつまで好きでいたって意味がないの。
考えれば考えるほど視界がボヤけて、鼻がツーンと痛くなる。
「どうしたのー?結香。目痛いの?」
「あ〜うん!……ゴミ入ったみたいっ。痛いよー」
「目薬貸す!?え、ちょっと、これ入れなよ!」
「ありがとう千秋〜」
あたしは笑顔を作って目薬を入れた。
しみった痛さでぶわっと涙と目薬が溢れてくる。
ごめんね……千秋。
ほんとは目なんて痛くない。
「どう?ちょっとは、スッキリした?」
「うん!でも……染みって涙止まらなーい!」
「えー!これ、そんなに刺激強い方じゃないんだけどな〜」
「あははっ……目薬苦手だからさ…」
涙をそっと隠した。
橙磨のこと好きって気持ちはもうやめた。
幼なじみはそれ以上の関係を求めちゃイケナイんだよ。
橙磨と前後で話す女の子、隣で話す女の子にひどくイライラ。
忘れるにはまだ無理っぽい。

