二人の足音しか響かない体育館。


ちょっとした物音にもビクッと過剰な反応をしてしまう。


もう嫌だー!!



ガタガタッ!!!


「ギャー!!!キャー!!何!?いやーっ!!」

「風強くて窓揺れただけだって〜」

「いやーっ!まだ音出てるぅー!!」

「頼むから女の子らしい声出して!結香の悲鳴に俺がビビる!!」

「怖い……もうヤダ…。明日の朝取りに行けば良かった…」


わざわざ、橙磨呼び出しても迷惑なだけなのに……。


怖いしヤダよ〜……


へこみかけたあたしの頭にポンっと大きな手が置かれた。


「大丈夫だから。俺がいるじゃん?」

「……うん」

「元気出せって!俺いたら怖くなくね?安心!安心!」



あたしの右手に橙磨の左手が触れて、きゅっと強く握られた。


手………繋いじゃったよ。


優しい笑顔に心から安心して、やっと立ち上がる。


そして気を使うようにあたしの一歩先を歩いてくれる。



今度は橙磨のカッコ良さにドキドキするってば………。